【獣医師監修】犬がいつもより落ち着かない!様子がおかしい原因や病気の可能性は?

愛犬がいつもと比べて落ち着かず、室内をウロウロしたり、地面を掘るしぐさを見せたり、ブルブル震えたりすると、飼い主さんは不安になるかもしれません。愛犬の様子がいつもと違う時、その行動を犬がとる原因や病気の可能性があるかを知っておきましょう。

【獣医師監修】犬がいつもより落ち着かない!様子がおかしい原因や病気の可能性は?
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犬の落ち着きがない(ウロウロしている)ときの原因は?

犬の落ち着きがない(ウロウロしている)ときの原因は?

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愛犬に落ち着きがなく部屋をウロウロしている時、いくつかの原因が考えられます。

ひとつは、激しい風雨や雷、屋外の音、来客などに恐怖を感じて、どこかに隠れようとしているケースです。
犬は人間よりも広い周波数をキャッチでき聴力がすぐれているので、愛犬が恐怖心や警戒心を抱く対象に飼い主さんが気付かないこともあるでしょう。

また、旅行や引っ越しでの環境変化や運動欲求が満たされないなど、ストレスを感じると、ウロウロと歩き回るケースも見られます。
飼い主さんがいなくて室内にひとり残されてしまった際、不安感でウロウロすることもあります。
さらには、吠え続けたり、ハァハァと荒い呼吸を続けたりするほど不安感が強い場合は、分離不安症という精神的な病気の可能性もあり、その不安を取り除くためには行動治療や薬物治療などを行わなければなりません。

ほかにも、病気による体調変化から、ウロウロと落ち着きなく動き回る場合もあります。
愛犬が苦痛を感じている時は、表情も不安そうにしているケースが多いでしょう。

愛犬がウロウロしている時に考えられる病気は?

・胃拡張胃捻転症候群
愛犬が部屋をウロウロしている時にもっとも注意すべき病気は、胃拡張胃捻転症候群です。
大型犬や胸の深い犬種に多い病気で、早急に動物病院で対処をしないと命に関わるので軽視してはいけません。
胃拡張や胃捻転が起きると、落ち着きがない様子で部屋をぐるぐる歩き回る、吐きたそうにしているのに吐けない、息が荒いといった症状が見られます。
このような状態に愛犬がなっているのを発見したら、緊急で動物病院へ。

・異物誤飲
犬が誤飲をしてしまい、胃腸の不快感を覚えると部屋をウロウロと動き回ることがあります。
異物誤飲は、腸閉塞に進行すると命を落とす危険性があるので要注意。
嘔吐や下痢を伴うケースもあり、犬は不安そうな表情を浮かべていることでしょう。
誤飲から数週間や数ヵ月経って、腸閉塞などを起こすこともめずらしくありません。
ウロウロする行動のほかに、嘔吐や下痢が見られたら、すぐに動物病院に向かってください。

・認知症
高齢になって脳の認知機能が低下して認知症になると、室内やケージ内をぐるぐる歩き回るといった行動が見られることがあります。

愛犬がウロウロしている時の対処法とは?

愛犬が室内をウロウロしている時、不安そうな様子がなく、飼い主さんが名前を呼ぶとうれしそうな顔で近寄ってきたり、遊びに誘って応じたりするならば、問題はないでしょう。
退屈さを紛らわそうと、遊べるものを探してウロウロしていた可能性が高いと考えられるからです。

ウロウロしている愛犬の表情が不安そうであったり、嘔吐や下痢をしたり、ぐったりと元気がなさそうならば早急に動物病院を受診してください。

胃拡張胃捻転症候群の予防と対処のためには、食後は運動をさせないことが重要です。
少なくとも食後90分間、理想的には2~3時間してから愛犬を散歩に連れ出すようにしてください。

異物誤飲に対しては、フタ付きのゴミ箱にする、飼い主さんが愛犬から目を離す入浴中などは愛犬をクレートに入れておくなど、予防策をしっかり講じるのが重要です。

犬がブルブル震えているときの原因は?

犬がブルブル震えているときの原因は?

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犬がブルブル震える原因としては、単に寒い、何かに怖さを感じている、慣れない環境にいるストレスなどが考えられます。
体調が悪く、身体に痛みを感じて震えていることも少なくありません。

愛犬がブルブル震えている時に考えられる病気は?

・消化器の病気(胃腸炎、腸閉塞など)
お腹に痛みを感じると、犬はブルブルと震えることがあります。
嘔吐や下痢の症状もあるようであれば、消化器の病気が考えられます。
このうち、命を落とす可能性があるのが、腸閉塞です。
犬では異物誤飲が原因で腸閉塞を起こすケースがめずらしくありません。

・脊髄の病気(椎間板ヘルニアなど)
椎間板ヘルニアになると痛みを感じるため、初期症状として震えることがあります。

・脳の病気(脳腫瘍など)
脳腫瘍や脳炎など脳に病気があると、神経異常が生じてブルブルと震える犬もいます。

・胃拡張胃捻転症候群
大型犬や胸の深い犬種に多い急性疾患で、対処が遅れると命に関わるので注意が必要です。
胃拡張や胃捻転が起こると、犬は苦しさからブルブル震えたり、室内をウロウロと動き回ったりします。
吐きたそうにしているのに吐けない、呼吸が早くて荒いといった症状も見られます。
このような状態に愛犬がなっているのを発見したら、緊急で動物病院へ。

・腎臓や肝臓の機能障害
腎臓や肝臓に疾患があると、代謝されるはずの毒素が体内に溜まってしまい、震えが起こるケースがあります。

愛犬がブルブルと震えている時の対処法とは?

犬が震えている時、まずは室温を見直しましょう。
寒さが原因であれば、暖房をつけたり、愛犬のために毛布を用意する、保温性のある洋服を着せるなどして対処します。

ストレスや恐怖が原因だと考えられたら、その原因となるものが気にならない環境を作ったり、愛犬を落ち着けてあげてください。
愛犬が安心できるスペースとして、クレートを用意すると落ち着くケースも少なくありません。

震えのほかに症状がある場合や震えが続くようであれば、早めに動物病院を受診してください。

犬が掘る仕草を続ける原因は?

犬が掘る仕草を続ける原因は?

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愛犬がカーペットをはじめ、ソファ、布団、ドッグベッドなどを一心不乱に掘り続ける姿を見て、行動がおかしいと感じる飼い主さんもいることでしょう。
けれども、犬が何かを掘っているからと言って、病気である可能性は低いのでほとんど心配いりません。

犬はもともと、寝床を整えるために掘る習性があります。
暑い日、屋外にいる犬は土を掘って冷たいところで休もうとするでしょう。

また、野生時代の犬には、一度に食べきれない大きな食べ物を、地面を掘って隠す習性もありました。
現代の犬でも、おやつやおもちゃを隠すために庭の土などを掘ることがあるかもしれません。

愛犬が掘るしぐさを見せる時の対処法とは?

愛犬が掘るものが、自宅や旅行での宿泊先のソファであったり布団であったりすると、布や皮が破れてしまう可能性があるので困惑することでしょう。
けれども、飼い主さんにとっては掘られて困るものを愛犬が掘っているからといって叱るのは、好ましくありません。
愛犬が信頼している飼い主さんとの関係を、損なう恐れがあるからです。
よく掘る行動を見せる愛犬には、引っ掻いてボロボロにしても問題のないバスタオルやひざ掛け毛布などを与えて、好きなだけ掘らせてあげてください。
掘る行動がストレス発散になることもあるので、掘るしぐさを見せる愛犬を穏やかな気持ちで見守ってあげたいものです。

まとめ

まとめ

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愛犬の行動がおかしいと気付いたら、まずは愛犬が苦痛そうな表情を浮かべていないかを確認してください。
不安そうな様子でウロウロ歩き回る、震えるといった行動のほかに、嘔吐や下痢、元気の消失などが見られたらすぐに病院へ。

愛犬の行動心理などを知れば、日常生活や旅行の際に役立ちます。
そして、病気の早期発見と早期治療ができるよう、ぜひ心がけてくださいね。

監修者情報

箱崎 加奈子(獣医師)

箱崎 加奈子(獣医師)

・学歴、専門分野 麻布大学獣医学部獣医学科 ・資格 獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルアロマセラピスト ・職業 獣医師 ペットスペース&アニマルクリニックまりも ・所属団体、学会 一般社団法人女性獣医師ネットワーク(代表理事) ・著書(一部) 1 最新版 愛犬の病気百科 著者名: 愛犬の友編集部 編 2 愛犬をケガや病気から守る本 著者名: 愛犬の友編集部 編 ・職業上でのペットとの関わり 普段犬猫の診察をしています。 飼育放棄や動物愛護センター収容の犬猫の保護譲渡活動をしています。 ・飼っている動物 シーズー ・ペット歴 ハムスター、うさぎ、ハリネズミ、犬(シーズー、ヨークシャテリア) ・ペットへの想い 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。 現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。 毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。 プライベートでは一児の母。 愛犬はシーズー。 家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています ・ペットに関するエピソード シーズー2頭、ヨークシャの全部で3頭の多頭飼いをしていました。 2頭は天寿を全うし、今はシーズーの澪(みお)が1頭です。 動物を飼育する習慣のない家庭に育ちましたので、この仕事に就こうと決めた時に初めて犬を飼いました。 犬初心者からトリマー、トレーナー、獣医と、飼い主目線で自分の愛犬に必要なスキルを身につけました

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ライタープロフィール

臼井 京音 Kyone Usui

臼井 京音 Kyone Usui

フリーライター、ドッグジャーナリスト 【経歴】 日本文学を専攻しバックパッカーもしていた大学卒業後、旅行ガイドブックの編集プロダクション勤務を経て、フリーライターに。30代前半でオーストラリアにドッグトレーニング留学をしたのち、現在はドッグジャーナリスト。 2007年から2017年まで東京都で“犬の幼稚園Urban Paws”の園長&家庭犬トレーニングインストラクターとしても活動。 東京都中央区 動物との共生推進員。 【執筆歴】 小学生時代から愛読していた雑誌『愛犬の友』をはじめ、多数の書籍や媒体で犬をはじめペットに関する執筆活動を行う。Webサイト「ニッポン放送ニュースオンライン」にて『ペットと一緒にby臼井京音』連載中。 著書:タイの犬の写真集『うみいぬ』、『室内犬の気持ちがわかる本』 これまでの執筆・編集歴は、毎日新聞の「臼井京音の幸せ犬ぐらし」連載コラム、AllAbout「犬の健康」、『週刊AERA』、季刊誌『BUHI』、書籍『フレンチブルドッグ生活の家計簿』、書籍『きみとさいごまで』、書籍編集『愛犬をケガや病気から守る本』、書籍編集『最新版 愛犬の病気百科』など。 【ペット歴】 小学生時代からシマリス、カメ、ミジンコ、カエル、ハムスター、メダカ、最初の愛犬ヨークシャー・テリアなどと生活し、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らしています。 室内外で保護犬やブリーダーから迎えた犬を多頭飼育していた祖父母や、獣医師の叔父、シャム猫を溺愛していた祖母の影響で、生まれた時からずっと動物に囲まれてきました。人と動物のよりよい関係を願い、日々取材と執筆を行っています。

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